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平成養生訓
人生にエッセンス、医療ジャーナリストの“丸山寛之さん”が綴る、平成養生訓を紹介いたします。
2017年12月1日
下は薄く、上は軽く、甘く眠ろう! 平成養生訓37
「ふとんの日」というのがあります。1997年、全日本寝具寝装品協会が決めました。
そのときは2月10日でした。
「2(ふ)10(とん)」の語呂合わせですが、一年中で布団の重用度が最も高い時季でもあったからです。
しかし、2010年からは10月10日に変わりました。
なぜ、変えたのでしょう?
そのほうが冬備えの寝具の需要を喚起し、ショーバイにつながる、というのでしようか?
ま、それはそれとしてー。
寒夜、温かい布団にくるまって寝るとき、ふっと感じる小さな幸福感は、生きているしるしのようなものにも思えます。
「フトン 布帛(ふはく)ヲ被(かわ)トシテ、内ニ厚ク綿ヲ入レタルモノ。坐(すわ)ルニ敷クヲ、座布団ト云(い)ヒ、臥(ふ)スニ敷ク長方形ナルヲ、敷布団ト云ヒ、臥スニ被(おお)ヒ掛クルヲ、掛布団ト云フ」と、『大言海』はいっています。当家のそれのように、内に入れた綿が「薄クシテ貧弱ナル」は、いうまでもなく「煎餅(せんべい)布団ト云ウ」です。
今はポリウレタン使用のマットレスや、綿に代わる羽毛の掛布団も広く用いられています。
体のためには、ふかふか軟らか過ぎる敷布団よりも煎餅布団やマットレスのほうがよいし、あまり厚くて重たい掛布団も感心しません。
重い布団をかけて寝ていると、血圧が高くなりやすいことが実験的に証明されていると、循環器の専門家に聞いたことがあります。
ともあれ、ストレス社会の最高の休息は、快い睡眠。「つらく働き、甘く眠れ」とはドイツのことわざです。
●布団と血圧
重たい布団をかけて寝ていると、血圧が高くなりやすいことは、1960年代に東京医科歯科大学の島本多喜雄教授が確かめて報告しています。「布団が重いと全身とくに胸部に対する圧迫が強くなる。すると胸腔内の圧力が高まり、呼吸のいきみが強くなるので、血圧が上がる」ということです。
健康な人でさえそうなのですから、まして高血圧や心臓病の人、脳卒中後のまひが残っている人などは、重い布団は敬遠したほうがよいでしょう。
片まひの人の場合、寝返りを打ったりするときなど、重い布団は動作の妨げにもなりやすい。
まひのない半身だけで布団の重さに対抗しなければならないのですから、単純に考えても仕事量も疲労も2倍になります。
軽い布団だと寒いような気がするのは錯覚で、重い布団のほうが内部にたまる空気の量が少なく保温性が低くなるそうです。
なお、電気毛布は体の水分を発散させやすい。
使う場合は、体にじかにかけず、熱くし過ぎないこと。
湯たんぽで低温やけどを起こすこともある。しっかり分厚く包みましょう。
●枕と睡眠
イチロー選手は、遠征にも「マイ枕」を持参するそうです。理由をこう話しています。「違う枕で寝ることで首の位置が変わってしまわないようにいつも一定にしておくためなんです。一番慣れた高さで寝るのがいいですからね」(石田雄太著「イチローイズム」集英社刊)。
枕の高さと、眠っているときの脳波やうなじの部分の筋肉の緊張度を調べた研究では、6~9㌢が
最適とされています。
これは、「寿命3寸、楽4寸(枕の高さが約9センチなら健康によい。約12センチは気持ちがよい)」という古言ともほぼ一致します。
高すぎる枕がよくないのは、首を曲げる角度が大きく深くなると、頸(けい)動脈が屈曲し、圧迫されるからだと循環器内科の専門医も言っています。
枕の中身(5種類)について、寝付くまでの入眠時間、睡眠時間、寝返りの回数、起床時の頭のさえ具合などを調べた研究で入眠時間が最も短かったのは、そばがら枕で、最も長かったのはフォームラバー枕で、起床後の計算テストの成績も最下位でした。睡眠時間や寝返り回数は差がなかったそうです。
そばがら枕を低くして寝ましょう。














