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平成養生訓
人生にエッセンス、医療ジャーナリストの“丸山寛之さん”が綴る、平成養生訓を紹介いたします。
2016年11月22日
おやつ代わりに深呼吸 平成養生訓36
きつぱりと冬が来た/八つ手の白い花も消え/公孫樹の木も箒(ほうき)になつた
きりきりともみ込むやうな冬が来た/人にいやがられる冬/草木に背(そむ)かれ、虫類に逃げられる冬が来た
高村光太郎の詩「冬が来た」の冒頭の二連です。
冬が「人にいやがられる」のは、「きりきりともみ込む」ような寒さと、それによる厄介な病気の季節だからでしょうね。
冬の病気といえば、大軍は風邪・インフルエンザですが、肺炎、脳卒中、心筋梗塞など手ごわい難敵も潜んでいます。
風邪の原因の90%は空気中に浮遊しているウイルス(約200種類!)で、それらの大半は低温・低湿度(寒くて乾いた)の環境で活動が活発になり、感染力が強くなります。
一方、冬の寒さは、人の体の免疫力を低下させます。悪条件が重なるのが、冬に風邪がはやる理由です。
風邪ウイルスに対する特効薬はありません。風邪を治すことができるのは、自分自身の免疫力=体の自然治癒力だけです。日本呼吸器学会のホームページにもこう書かれています。
「ウイルス性のかぜ症候群であれば、安静、水分・栄養補給により自然に治癒します」。
ひいたな!? と感じたら、水気たっぷりのあったかくて栄養のあるもの(鍋焼きうどんなど最適)を食べ、布団にくるまりぐっすり眠る。風邪の最良の治療法はこれに尽きます。
しかし、「インフルエンザは風邪ではありません」(厚生労働省のキャンペーン標語)。
風邪の熱は37度そこそこですが、インフルはいきなり38度以上の熱が出て、のどの痛み、せき、頭痛、倦怠感、筋肉痛など激しい全身症状が出ます。
やられた!! と感じたら、すぐお医者さんへ─。インフルエンザには、ウイルスに直接作用する特効薬があります。
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風邪・インフルで最もこわいのは、肺炎の併発です。
ここでもカギを握るのは、やはり免疫力です。
肺炎のような感染症は、ホスト・パラサイト・リレーションズ(宿主─寄生体関係)といって、宿主(人体)と、それに寄生する病原体との力関係によって、重くも軽くもなります。重くなるのは、寄生体(ウイルスや細菌)の側に問題があるのではなく、ご病人の体のほうの要因によるのです。
ですから、平生、健康に気を配り、体調を整え、免疫力を高めておくことが肝要。そして、もう一つ、肺の健康のために大切なことは深呼吸です。
普通の呼吸では肺が完全にはふくらみません。深呼吸で肺を十分ふくらませると、気管がリラックスし肺がまんべんなく活動します。朝晩、日中、思いつくたびに深呼吸しましよう。「おやつ代わりに深呼吸を」とは、ある呼吸器内科の専門医のアドバイスです。
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冬の寒さは心臓や脳にとっても大敵です。寒冷刺激で交感神経が緊張、血管が収縮すると血圧が上がり、心筋梗塞や脳卒中を起こしやすくなるからです。
特に気をつけたいのが早朝です。冷え込む上に、目覚めて神経が活発になると、健康な人でも血圧が上昇します。
実際、心筋梗塞や脳卒中は朝から昼前までが最も多く、午前6時から正午にかけての発症率は、その他の時間帯と比べて、心筋梗塞が4割、脳卒中が5割も高くなっています。
早朝とともに注意が必要なのが、入浴です。冬場は入浴中に突然死する高齢者がふえます。死因は心筋梗塞など循環器疾患58%、脳出血・くも膜下出血など脳血管系疾患15%、水死11%です(東京都監察医務院調査)。
加齢で循環器系の調節機能が低下しているのに加え、冬場は熱い湯に長く入る傾向があり、血圧の変動が激しくなります。お湯は38度から41度、20分以上の長湯は避けましょう。
厳冬が来る 人の瞳(め)を澄ますべく 能村登四郎














