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平成養生訓
人生にエッセンス、医療ジャーナリストの“丸山寛之さん”が綴る、平成養生訓を紹介いたします。
Vol.322013年12月2日
肉、食べるな! 食べろ! どっちなの?
春分の日の朝でした。いつものように定員一名大小兼用個室の中でひざの上に新聞を広げて、マンガを見て、思わず声を発して笑ってしまいました。
東海林さだお作『アサッテ君』。
1コマ目=左右に並ぶ2冊の本。「肉を食べる人は長生きする」←A出版 「長生きしたければ肉を食べるな」←B出版。
2コマ目=「どっちを信じればいいんだ?」思案顔のアサッテ君。
3コマ目=「こうすれば!」と、おくさん。
そして4コマ目=「お金のあるときはA!」「お金のないときはB」ずっこけるアサッテ君。
どうも、いまひとつ面白さをうまくお伝えできなかったですが、どっちを信じればいいんだ? というアサッテ君の困惑には、みなさん、共感されるのでは─。
ご存じの方も多いでしょうが、2冊の本はことし1月に前後して出版された、柴田博著『肉を食べる人は長生きする』(PHP研究所)と、若杉友子著『長生きしたけりゃ肉は食べるな』(幻冬舎)です。
柴田さんは、東京都老人総合研究所の研究員、副所長、桜美林大学大学院老年学教授を経て、現在は日本応用老年学会理事長。
若杉さんは、「30年以上にわたって日本人にとっての正しい食事とは何かを研究・実践し続けている、食養研究の第一人者」です。
柴田さんは、老人総合研究所に蓄積されたデータにもとづき、現代日本人の健康・長寿は、食生活が豊かになり、栄養がよくなったのが最大の原因だと説きます。
明治の末期、日本人の動物性たんばく質の摂取量は1日平均たったの3㌘だったが、いまは約45㌘。肉や魚を15倍多く食べるようになったおかげで体格がよくなり、寿命が延び、元気な老人が増えた。厚生省が調査を始めた1963年には全国に153人しかいなかった百寿者が、2012年には5万人を超えた。
年をとっても体は新陳代謝をするので、体内では合成できない必須アミノ酸を多く含む動物性たんぱく質が欠かせない。
1日1300㌔㌍という少食の日野原重明先生101歳も、夕食の一品は必ずステーキとかハンバーグなど肉料理だ。
もちろん、肉ばかりをたくさん食べろというのではありません。「肉も(適量)食べる人は長生きする」というごく常識的な提言です。
一方、若杉さんは、ズバリ「日本人に肉は合わない」と断言。
農耕民族の日本人は穀物菜食をしてきたため腸が長く、肉のカスが腸内に長く残り、腐敗し、さまざまな毒素が発生、血液が汚され、細胞のガン化を招いてしまう、と。
むろん、若杉さんの主張も、肉さえ食べなければ長生きできるというものではありません。桜沢如一氏などが提唱した「マクロビオティック(東洋の陰陽説による長寿法)」の流れを汲む食事法の勧めです。
76歳で白髪なし! 老眼なし! 病院に行ったこともない! 若杉さんの本の広告の文面には、
〈私の話を聞いて食事法を実践してくれた人たちは、「病気が治った」「黒髪がどんどん生えてきた」「視力が上がった」等々、身体のミラクルに驚いています。実は、私の夫も、病院から余命2カ月と宣告されたのに、私の食事法を実践したら、ガンが消えました〉とあり、
●日に3度の食事は食べすぎ!
●電子レンジは身体を毒する
●牛乳は身体に悪い
●パン食は万病のもと
●甘い物を食べるとうつになる
●現在手に入る卵に栄養はない
●キノコ類、モヤシ、カイワレダイコンは食べるな─などなど、えっ!?と驚く文言が並んでいます。
一つの疑問は、「余命2カ月」と宣告された、ご主人のそれまでの食生活はどんなふうだったのか。ご夫婦ともに同じ食事法を実践していたのではないのでしょうか?
さて、あなたはどうなさいますか。私の持論は、肉も魚も野菜もバランスよく食べる─ですが、当たり前すぎて面白くもなんともないですね。














