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平成養生訓
人生にエッセンス、医療ジャーナリストの“丸山寛之さん”が綴る、平成養生訓を紹介いたします。
Vol.142010年4月18日
昔の「10訓」今の「10ヵ条」
人間何事をなすにもまず健康です。
古来、いろいろな人が、いろいろな健康法を唱導していますが、とりわけすぐれた一例が、江戸中期の俳人、横井也有作と伝えられる「健康十訓」でしょう。
少肉多菜[しょうにく た さい](肉はほどほど、野菜をたくさん)。
少塩多酢[しょうえん た さく](塩分少なめ、酢をたっぷり)。
少糖多果[しょうとう た か](ケーキのかわりに果物を)。
少食多齟[しょうしょく た そ](腹八分目、よく噛んで)。
少衣多浴[しょう い た よく](厚着しないで、お風呂は毎日)。
少車多歩[しょうしゃ た ほ](ドライブよりもウォーキング)。
少煩多眠[しょうはん た みん](わずらい忘れて、よく眠ろう)。
少忿多笑[しょうふん た しょう](怒るな、怒るな、笑おうよ)。
少言多行[しょうげん た こう](グズグズ言わず、テキパキやろう)。
少欲多施[しょうよく た し](ケチケチしないで寄付しよう)。
カッコの中は、私が平たく言い換えてみたものですが、そんな蛇足など全く不要。
「少」と「多」が整然とつらなる四字熟語の列は、目で見て即座に意味が分かる見事な修辞法で、ただただ感嘆するばかりです。
記されてある内容も、現代の栄養学や生理学、心身医学などに照らして、どれも正しく理にかなっていると思います。知恵の深さに感じ入るばかりです。
―というところで、こんどは日本臨床内科医会(内科医約一万八千人加入)作成の「健康・長寿10ヵ条」をご紹介しましょう。
去年の秋に発表されたばかりの現代版「健康十訓」です。
- ゆっくり食べよう。良く噛んで、腹八分目ではしをおく。
- お魚と大豆製品欠かさずに。野菜果物バランスOK。
- 毎日歩こう三〇分。足腰鍛え、長寿への道。
- 早寝・早起き。タバコは吸わない。お酒もほどほど健康の秘訣。
- 頭を使ってボケ防止。毎日明るく夢を持て。
- 眠れない、食欲がない、元気がない、心の風邪か?まず相談。
- ストレスためずによく眠り、過労をさけて休養を。
- うがい、手洗い習慣つけて、防ごう風邪やインフルエンザ。
- あなたの健康、家族の宝。すすんで検診、自己管理。
- いつでも何でも相談できる、かかりつけ医を持ちましょう。
さすがお医者さんたちが考えたものだけあって、大切な注意や助言はもれなく挙げられてあり、ぜひ守りたいと思います。
ただ惜しむらくは、文章のこなれがいま一つの、冗漫な条文が少なくないことです。
もし、栗原毅先生―肝臓内科が専門の東京女子医大助教授。
みなさまよくご存じの「血液サラサラ」という表現を最初に使ったひと―のような文章上手の協力を得ることができたなら、もっとスッキリと分かりやすい健康十訓ができたはずです。
栗原先生といえば、本誌前号の「コエンザイム対談」での、「齢をとるのは誰も避けられません。齢に抗うのではなく、ゆっくりと齢を重ねていきたい。
アンチエイジング(抗老化)よりもスローエイジング。
そのほうが現実的で大切な心がけでしょう」という提唱には大いに共感、感銘を受けました。
現代文明は「速い・強い・高い」を求め過ぎて「ゆっくり・のんびり・ゆったり」の価値を忘れた。
「い」より「り」を重んじたい―と言った人もいます。
おたがいに今年は(来年も、再来年も)、スロー、スローと参りましょう。














